ドル円今後の展望 ー次回金融政策会合に向けてー

日米の金融政策のおさらい

先週、6月12日-16日は先進国の金融政策決定会合が集中しました。まずは、日米両国の政策の要点のみに絞っておさらいしましょう。金融政策の内容、FRBパウエル議長、日銀植田総裁の発言内容を要約しています。

米国 6月13日-14日
[1] 政策金利 5.00-5.25%(前回から変更なし
[2] ドットチャートから2023年にあと2回の利上げが中央値
[3] ほぼすべての当局者が年内の更なる利上げを適切と判断しており、年内の追加利上げの可能性が高い
[4] インフレリスクは依然として上向きである
[5] 利下げについては2年ほど先の話である


日本 6月15日-16日
[1] 政策金利 -0.1%(前回から変更なし) 長期金利 10年 ±0.5% イールドカーブコントロール修正なし
[2] 消費者物価は今年(2023年)半ばにかけて下がっていく(現状3%台半ば)
[3] イールドカーブコントロール(YCC)では、ある程度サプライズが生じる
[4] 日銀の政策目標はあくまで物価であり、賃金ではない
[5] 物価見通しが大きく変われば政策変更につながる可能性があるが、持続的・安定的な物価上昇率2%にはまだ達していない

市場の反応は?

まず、14日(水)FRBの政策とパウエル議長の会見をみての反応は、円安ドル高でした。さらに、16日(金)の日本の政策発表も市場の大方の予想通りに通過して、円安ドル高のまま終了しました。ドル円はFRB発表前の139.39円から16日(金)のニューヨーク終値の141.86円まで、2.5円も円安ドル高に振れました。

ただ、市場関係者がFRBのいうような年内2回の利上げを織り込んでいるかといえば、Noです。14日(水)から16日(金)までの円安ドル高は、(1)市場関係者が年内利下げの可能性を低めて、年内は政策金利5.00-5.25%に据え置く可能性を高め、(2)日銀のYCC修正をひょっとしたらと考えていた向きの修正と限られると考えられます。

何が言いたいのかというと、パウエル議長がいうような年内2回の利上げに対して市場関係者は懐疑的であり、今回のドル円の上昇(円安ドル高)は利下げ観測の修正にとどまっており、しかもその修正の度合いはFRB高官の予想している水準にまで達しているという点が重要です。

ドル円の展望

パウエル議長ほかFRB高官たちが再三にわたって指摘してきているように、今後のデータ(経済指標)次第での政策決定となってくるわけです。ただ、その答えは誰もわからないわけです。そこで、今回は現状の流れのままという前提でドル円の上値目処を予想していきたいと思います。

この現状の流れのままというのが重要な前提なので、ひとつだけグラフをお見せして、その認識を記載します。図1は、米国の物価指標の上昇率とGDP成長率を示したものです。FRBが10会合も連続して利上げをしてきただけあって、さすがに歴史的にみてもかなりの物価上昇率です。

そうなのですが、やはり上昇率の落ちてきており、GDP成長率も急激に落ちています。米国のISMやPMIをご覧になっている方はわかると思いますが、景気はコロナ禍を経た旧回復期と比べてかなり落ち着いてきたというのはご理解いただけるでしょう。これらから、今回の前提としての認識は下向きです。このまま低下していくのかの予想はまた話が込み入るため別の機会に考えましょう。この記事では、ひとまず下向きが継続することを前提として、それほどドル高が進まないと予想します。

では、具体的にチャートでみてみましょう(図2)。第1の抵抗帯として142円~142円50銭を挙げます。ここには、142円という数字上の節目、142円25銭(2022年11月22日戻り高値)、142円26銭(フィボナッチ61.8%戻し)、142円48銭(2022年11月11日)が控えています。ここの帯は結構強いのではないかと思っています。
個人的にはそこまで行かないのではないかと思っているが、さすがにここで止まるだろうと思っているのが第2抵抗帯145円~146円50銭です。これを突破して上昇はさすがに想定していません…。

今後を左右するポイント

とまあ、予想しましたが、とはいえデータ次第です。物価目標の2%まで全然物価が落ちなければFRBの”Dual mandate”に則って策を講じる(つまり、追加利上げ)ことになるでしょう。
あともうひとつのポイントが日銀のYCC変更です。冒頭の整理で載せましたが、植田総裁の「イールドカーブコントロール(YCC)では、ある程度サプライズが生じる」という発言は、個人的には、先週のすべての発言の中でももっとも重要なものだったと思っています。今月の政策決定会合での記者会見でこの発言が出るということは、次回以降の警戒感はかなり大きなものになるということです。そうした思惑もまた、ドル円の水準に影響するでしょうし、本当に変更したら、当たり前ですがインパクトの出るものと考えられるでしょう。

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