いま日経平均は買い?どこまで上がるか予想 後編

後編では、いよいよデータに基づいて、日経平均を予想していきます。結論の数値はスクロールして最後に載っているわけですが、その根拠と考え方を読まないと誤解につながるので、記事をちゃんと読んだうえで参考にしてください。

図1は2020年1月から2023年6月を3つの期間に分け、縦軸に日米株価指数の相対的なパフォーマンス(S&P500 vs 日経平均)をとり、横軸にドル円の水準をとったグラフです。期間は2020年1月からコロナを経て世界的に金融緩和がなされた2022年2月までの時期(オレンジ色)、米国が政策金利を上げ始めてから日本銀行総裁候補として植田和男氏との報道がなされた2023年2月までの時期(青色)、そして2023年3月から2023年6月(黄色)です。

オレンジ色の時期は、米国に限らず世界的に金融緩和迅速かつ積極的に行われました。この時期にオレンジ色のプロットが右肩下がりというのは、ドル高円安が進むと日経平均のパフォーマンスがS&P500よりも低下していたことを示しています(世界的に金融緩和が行われていたこの時期についての考察は重要ですが、長くなるため他の機会に譲ります)。

次に、青色のプロットの時期はどうでしょうか。この時期は青色のプロットはほぼ水平です。つまり、この時期は日経平均とS&P500のパフォーマンスに開きはなく、ドル高円安が進めば(ドル建てで日経平均が割安になるので)、その変化率だけ日経平均が上下する状況でした。

さて、ここからがミソなのですが、黄色のプロット2023年3月以降はどうでしょうか。一見、青色のプロットと代り映えしませんが、重要な変化が2つあります。ひとつは、青色のプロットよりも上方であることです。そしてもうひとつは、傾きが右肩上がりになっていることです。これは何を意味するのか。ひとことで言うと、日経平均のパフォーマンスがS&P500と比べて良好であり、ドル高円安が進むほどパフォーマンスが改善するという状況です。

鋭い方からすれば、青色から黄色のプロットへの構造変化には疑問が残るでしょう。米国が金融引き締めをしてきた青色の局面で日本は金融緩和を続けてきました(2023年6月現在でも続けています)。一般に、金融引き締めが金融市場を冷やす効果をもっているはずなのです。そうであれば、S&P500は青色プロットの局面でも日経平均よりもパフォーマンスが落ちてくるはずです。そうなっていなかった答えは、金融政策と景気との内生性にあります。詳しいことは別の機会に譲り、簡単に言いますと、FRBは景気状況をみながら、市場と対話をしながら政策金利や金融引き締めを進めてきました。景気や金融市場を急速に冷やすことの内容に進めてきたことの結果が、金融緩和を続けてきた日本と相対的にパフォーマンスで劣らない結果につながったといえます。その意味では、FRBパウエル議長の市場との対話は実は及第点なのかもしれません。

少し脱線しましたが、では青色から黄色への構造変化の最も大きな要因は何でしょうか。それは、日銀の揺るぎない緩和路線の継承です。海外投資家の多くは、日銀の“異次元の緩和”あるいはイールドカーブコントロールに懐疑的です。必ずいつかは修正が入ると考え、そのタイミングにいち早く乗って利益を得ようと考えています。その可能性が高かったのが、黒田前総裁からの交代のタイミングだったわけです。ところが、その期待は裏切られ、候補として指名を受けた植田現総裁は就任前に早々と継続の姿勢を明らかにしました。こうしたことで「しばらくは緩和が続く=日本株はしばらく買い」となって、構造変化が起きたわけです。

とはいえ、イールドカーブコントロールの修正、さらには政策金利の引き上げが絶対にないわけではなく、2022年前半のようなFRBがこれから金利を数%上げていく局面でもありません。そういったことから、構造変化が起こったとはいえ、その変化は控え目と言っていいかもしれません(傾きの係数をご覧いただければ、その意味がお分かりいただけると思います)。

では最後に、日経平均はどこまで上がるのかを大胆に予想してみましょう。日経平均が外貨建てでみた割安感と金融政策の差異から買われているということは、これからの為替の動向と金融政策の期待から予想を立てる必要があります。また、比較対象となる株価指数を何にするかということも重要な要素でしょう。ここではS&P500をベンチマークとして、ドル円の水準ごとに予想値の幅を示したいと思います。

両国の金融政策の動向によってドル円の取りえるレンジが異なってくるのですが、最も高い予想値を付けたのは「日銀政策変更なし+FRB政策金利5.00%未満」で1ドル115円の場合に、35894円。これは、日銀が頑なに政策変更せずに、米国が金利の引き下げ姿勢をかなり示した場合で、S&P500が大幅に上昇しつつ、先ほどの構造変化が効いているために円高にもかかわらず日経平均が大きく上がるというパターンを想定しています。

最も低い値を付けたのが「日銀政策変更あり」で1ドル120円の場合に、23886円。「日銀政策変更あり」の場合にはFRBの政策は明示しませんでしたが、単純にFRBの姿勢(あるいは市場の期待が)がタカ派であればドル高円安、ハト派であればドル安円高と受け取っていただいて結構です。日銀が政策変更した場合には先ほどの構造変化にさらなる構造変化が起き、今度は日本の金融市場が冷え込むので日経平均は低くなることを示しています。

以上が、データから考えた日経平均の予想です。上記の水準は、今すぐというわけでなく、2024年3月くらいまでの中期的な落ち着きどころと理解してください。

ここまでデータを引きながら書いておきながら、最後に主観的な雑感を最後に書いてしまいますが、日経平均これからそんなに上がらないのではないかと思います。いま、仮に証券会社の営業に、「日経平均上がっているから買いです!」と言われたら、そこの証券会社との今後の取引は考えた方が良いかもしれません。もちろん根拠があってまだまだこれから上がるというのであれば、別ですが。株(に限らず金融商品は何でもそうですが、)は安いときに買う(そして、高いときに売る)ものですので...。

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